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中学校の新学習指導要領と英語教育について(2022年3月)

小難しいことをいきなり書こうと思います。一塾講師から見た新学習指導要領の狙いや意図と、現状の学校教育に対する感想・意見・分析です。

まず、文科省による新学習指導要領(英語)の意図は、明確で英語で発信できる人間を増やすというものです。それは「話す」と「書く」ということです。「話す」は、「対話」と「発表(プレゼン)」の2種類に分けられています。そして、「話す」も「書く」もある程度、型を決めていおいて、実践的に、声に出し、書いていくという機会を以前より増やすという方法をとっています。また、授業内で、音声を聞く機会が、大幅に増やされ、対話時の聞き取り能力の向上を意図していることがわかります。つまり以前が、暗記(インプット)重視だとすれば、そこから大幅に方向転換して、英語による発信力向上やコミュニケーションの重視が意図されていると思います。

では、そのような理念に対する、現状の学校での対応は、どうかというと、やはり授業内での、聞き取りの機会が確実に増え、生徒同士のコミュニケ―ションの機会も多いです。

小学生の場合は、私が確認した限りでは、基本手的な例文は、発音を聞けば、その意味がある程度わかる生徒が、かなり増えたと思います。しかし、一方で、小学5年生進級段階で、ある程度の格差が生まれているのも感じます。

中学生の場合も、聞き取り機会が増え、生徒同士のやり取りも増えています。生徒間の学力格差は、もちろん激しくあるものの、以前と比べて、それが激しいかというと、微妙なところです。しかし、新中2に関しては、かなりの差があるように感じています。

また、定期テストに関しては、聞き取り問題の量、英作文の問題も全体的に増えています。一部では、新しい指導要領や教科書は素晴らしいが、学校現場でのテストは相変わらず、暗記重視だという批判をしている人もいますが、そもそも語学は暗記がベースにあるので、語学系の試験において暗記重視でないものはありません。

入試においても、やはりそうで、暗記を全くしなくても大丈夫な入試はありません。

もっと言ってしまえば、「話す」にしても「書く」にしても、知らない単語はそもそも聞き取れません。「読む」にしても「聞く」にしてもそうです。赤ん坊は、知らない単語を聞き取りながら覚えるので、4技能のうち「聞く」ということからインプットすべきだというのもある程度支持する意見ですが、そもそも小学生・中学生は赤ん坊ではありません。「聞く」だけでは定着しませんし、「書く」に至っては、訓練なくして書けるようにはなりません。

我々が、文字を書けるのは、書く訓練を学校でしたからです。我々が読めるのは「読む」訓練をしたからです。それがなければ、言葉が聞けて話せても、書けもしなければ、読めもしないでしょう。

「聞く」機会が増えたのは大いに結構なんですが、その分、暗記する機会、暗記に動機づけするような機会が、学校現場で確実に減ってしまっているように感じてます。

そしてその機会をできる限り生徒たちに与えるのが、塾予備校の、英語担当者の使命でもあると感じています。